コラム
2026.06.04 アクセス解析
PC版の分析だけで大丈夫?スマホユーザーの行動特性から考えるサイト改善
「会社のパソコンで自社のホームページを見ると綺麗だし、使いやすそうに見える。でも、アクセス解析の数字を見ると、お問合せのほとんどがスマホユーザーからなんだよね……」
「スマホの画面サイズに合わせてデザインを調整(レスポンシブ対応)はしているけれど、スマホユーザーが本当にストレスなくページを読めているのか、具体的な数字の追い方が分からないな……」
Web担当をしていると、デスクの大きなモニターで自社のサイトをチェックすることが多いため、どうしても「PCでの見え方」を基準に考えてしまいがちですよね。
ネットで同じような悩みを持つ人の投稿を見ても、「これからはモバイルファーストの時代!」と書かれているものの、じゃあ実際のアクセス解析でスマホユーザーの行動特性をどう読み解き、どう改善に繋げればいいのかという具体的な話まではなかなか見つかりません。
スマホユーザーのアクセス解析を正しく行うには、PC版のデータを切り離し、スマホ特有の「親指の届く範囲」「スクロールスピードの速さ」「画面の狭さによる離脱のしやすさ」という行動特性に基づいたデバイス別の単独分析を行うことが不可欠です。
今回は、私も「PC版の基準」で考えて大失敗した経験から学んだ、スマホユーザーの行動特性をアクセス解析で浮き彫りにする着眼点と、上司をハッとさせる報告資料の作り方を分かりやすくシェアしますね。
目次
スマホのアクセス解析をPCと分けるべき理由:画面サイズと閲覧環境による行動特性が全く異なるため
アクセス解析においてPCとスマホのデータを混ぜて平均値で見てしまうと、スマホユーザーが画面の狭さや読み込み速度の遅さにストレスを感じて離脱している「本当の課題」を見落としてしまうからです。
多くのB2B企業や中小企業のWebサイトでも、今やアクセスの過半数、業種によっては7〜8割以上をスマホユーザーが占めています。しかし、PCとスマホでは、ユーザーがサイトを見ている「環境」も「目的」も180度違います。
- 閲覧環境の違い:PCユーザーはオフィスのデスクでじっくり腰を据えて見ていますが、スマホユーザーは移動中、ベッドの上、あるいは家事の合間など「ながら見」をしています。
- 集中力の違い:スマホは通知が来たり、画面が狭くて目が疲れやすかったりするため、少しでも「見にくい」「重い」と感じたら、1秒も待たずにページを閉じてしまいます。
- 操作方法の違い:マウスではなく「親指」で操作するため、押しにくいボタンや、小さすぎる文字はそれだけで致命的な離脱原因になります。
サイトがスマホに対応していること(レスポンシブデザイン)と、スマホユーザーが快適に行動できていることは全く別のお話です。アクセス解析で「デバイス別」に数字を切り分けることで、初めてスマホ版のサイトに潜むバグや使いにくさが浮き彫りになります。
【具体例】PCとスマホでこれだけ違う!データに現れる「離脱」の裏のユーザー心理
アクセス解析の指標である「平均エンゲージメント時間(滞在時間)」や「キーイベント率(成約率)」をPCとスマホで横並びにして比較すると、スマホサイトが抱える具体的な欠陥を突き止めることができます。
よくあるデータのギャップと、その裏に隠れているスマホユーザーの心理を具体例で見てみましょう。
| 解析データ (指標のギャップ) | サイト内で 起きている問題 | スマホユーザーの 心の叫び(推測) |
| スマホの滞在時間だけが、 PCに比べて極端に短い | ファーストビュー(最初の画面)でのつまづき | 「開いた瞬間に、画面いっぱいに大きな画像が出てきて、何のサイトか分からない」 「文字が小さすぎて読む気が起きない」 |
| スマホの直帰・離脱率が 異常に高いページがある | 読み込み速度、またはスクロールの限界 | 「画像がなかなか表示されないからイライラする」 「いつまでスクロールしても欲しい情報にたどり着けない」 |
| アクセス数はスマホが 多いのに、成約はPCばかり | 入力フォームやボタンの押しにくさ | 「お問い合わせボタンが小さくて親指で押せない」 「スマホのキーボードで15個も項目を入力させるなんて無理!」 |
例えば、PCで見るとすっきり整って見える「縦長の料金表」も、スマホの縦型画面で見ると、横幅が収まりきらずに文字化けしていたり、表が崩れてスクロールできなくなったりしていることがよくあります。
数字の差をチェックすることは、スマホを片手に「自分たちのサイトで迷子になっているお客様」の足跡を追いかけることと同じなのです。
【手順・図解】デバイス別分析の基本!スマホユーザーの行動データを分離する3ステップ
どのアクセス解析ツールを使っていても、サイト全体のデータを「モバイル(スマホ)」と「デスクトップ(PC)」のデバイス(端末)別に切り分け、それぞれの成約率の差を横並びで比較することがスマホ分析の第一歩です。
ツール内の「標準レポート」や「カスタムレポート」の機能を使って、以下の3つのステップで数字を整理してみましょう。
ステップ1:レポートの分類軸(ディメンション)に「デバイス」を設定する
アクセス解析ツールのレポート画面を開き、データを分類する基準(軸)として、[デバイス カテゴリ] や [端末種別] を指定します。これにより、サイト全体の合計数字が「mobile(スマホ)」「desktop(PC)」という行に自動的に分割されます。
ステップ2:比較する指標に「訪問数」と「成約率」を横並びにする
データを仕分けたら、それぞれのデバイスごとに、以下の3つの指標を並べて表示させます。
- 訪問数(セッション数):どれだけそのデバイスからアクセスが来たか
- 成約数(コンバージョン数):そのデバイスから何件のお問い合わせがあったか
- 成約率(コンバージョン率):【超重要】そのデバイスの「集客の効率の良さ」
ステップ3:スマホの「成約率」をPCの数字と見比べる
完成した比較表を眺めてみましょう。チェックすべき結論は、「アクセス数(訪問数)が多いデバイスほど、成約率も高くなっているか」です。もし、スマホからのアクセス数がPCの2倍以上あるのに、成約率はPCの半分以下にとどまっている場合、スマホ版のページ構造のどこかにお客様を逃してしまっている致命的な「罠」が確実に潜んでいます。
ツール特有の難しい設定を覚えようとする必要はありません。どんなツールを使っていても、「スマホとPCを切り離して、成約率のギャップを見つける」というこの3ステップの基本さえ押さえておけば、サイトの本当の弱点をいつでも正確に突き止められるようになりますよ。
上司報告で使えるコツ:「スマホ比率」と「成約率のギャップ」を見せて一発で納得させる報告術
上司へサイト改善の予算や許可をもらう時は、まず「我が社のサイトへのアクセスの〇%がすでにスマホです」という事実を伝えた上で、「スマホの成約率をPC並みに改善するだけで、お問合せが〇件増えます」という伸び代を提示するのが最も効果的です。
経営層や上司は、「スマホ版が見にくいから直したい」という感覚的な理由だけでは動きません。しかし、「多くの顧客がスマホで来ているのに、スマホ画面の使いにくさのせいで機会損失が出ている」という経済的な機会損失を数字で見せられると、すぐに首を縦に振ってくれます。
- アドバイス:上司がパッと見て理解できるように、横文字の専門用語を使わず、「スマホ」「PC」「お問合せ率」と言い換えたシンプルな資料を作りましょう。
上司が思わず動く報告書コメントのテンプレート
「現在、当社のWebサイトにアクセスしているお客様の実に65%が『スマホ』からの流入となっています。 しかし、パソコン経由の成約率が2.0%あるのに対し、スマホ経由の成約率は0.5%と、約4分の1にとどまっています。 これは、スマホでお問い合わせフォームを入力する際、項目が多すぎて途中で諦めてしまっていることが原因と考えられます。 来月、スマホ版の入力項目を半分に減らす改修をテストさせてください。スマホの成約率がPC並みになれば、アクセス数を増やさなくても、毎月のお問い合わせ数が12件増加する見込みです。」
このように、自社のアクセスの主役がすでにスマホに移っていること、そしてそこに「伸び代」が眠っていることを示すことで、あなたの提案は社内の最優先事項へと格上げされます。
まとめ:スマホユーザーの目線に立つことが、成約率を底上げする最短ルート
スマホのアクセス解析とは、ただデバイス別の数字を眺めることではなく、小さな画面の向こう側にいるお客様の「ストレス」を取り除くための作業です。
- PCとスマホは閲覧環境が全く異なるため、必ずデータを切り離して分析する。
- 「アクセスは多いのに成約率が低い」なら、スマホサイトの操作性(フォームなど)を疑う。
- 上司には「スマホのアクセス比率」と「改善によるお問合せの増加予測」をセットで語る。
デスクのパソコンでサイトを修正したあとは、必ず自分のスマホを取り出して、親指1本でスムーズにお問い合わせ完了までたどり着けるかテストしてみてください。そのひと手間の目線が、サイトの成果を劇的に変える第一歩になりますよ!
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